7/12片想い…… ~forever~
まいど。OIOI(オイオイとお読みください)です。
私のプレッシャーが効いたのか、人事課のメンバーたちも、やっと気持ちの入った原稿を書いたようだ。
当初の私の目標は、このブログに気合を入れ直すということだった。
その目標が達成された今となっては、私の恋話など、どうでもいいのではないだろうか?
と思う反面、前回の投稿で2通もコメントをもらった以上、続編を綴らない訳にもいかないという使命感が私を突き動かす。
あらかじめ宣言しておく。
今回の投稿は、長いよ。
C子との涙の別れから5年。
私は二十歳の大学生になっていた。
時間というのは不思議なもので、C子に失恋し深く落ち込んでいた私の記憶を、“思い出”という宝物へと変化させてくれた。
あれは年が明けて間もない、1993年1月のことだった。
その日私は、いつものように友人の家に上がりこみ、当時恒例となっていた『朝までゲーム大会』に熱中していた。
不意に友人のK男が、
「OIOI、成人式どうするの?」
と、私に聞いてきた。
私 「んー、行くよ。一緒に行く?」
K男 「じゃー、行こっか。でも野郎だけで行ってもつまんないよなー」
私 「誰か女子(おなご)でも誘う?」
K男 「でも俺、中学時代の女子と連絡取ってないからなー。OIOI、誰かいない?」
そのとき私の頭に、その前の年に合コンを開いたA子の顔が浮かんだ。
話は逸れるが、A子との合コンでも、私は暴走していたらしい。
ひとしきり飲んだあとの二次会で、あろうことかA子に対して、
「噛めー!俺の指を噛めー!」
と、自分の人差し指を突き出して絶叫していたようだ。
最初は笑いながら軽く噛んでいたA子も、
「もっと強く噛めー!お前の力はそんなものか!?」
と、しつこい私に業を煮やし、思いっきり私の指を噛んだらしい。
「そうだー!それでこそA子だー!」
と、訳の分からない絶叫を繰り返す私。
今思い返しても、なぜそのような行動を取ったのか、理解できない。
これが俗に言う、“若気の至り”という奴だろう(文中「らしい」という表現があるのは、後日談として友人から聞いたからである。もちろん、友人たちが嘘をついている可能性も否定できない。しかし合コンの翌日、私の指には、確かに歯形が残っていた……)。
話を戻そう。
中学時代のA子は、ブラスバンド部に所属していた。
そして、あのC子もブラスバンド部に所属していた。
しかも、二人は仲が良かったはずである。
もしかしたら私とK男のように、C子とA子も一緒に成人式に行くのではないか……。
そんな期待を込めて、私は早速A子に連絡を取ってみた。
私 「あっ、もしもし?OIOIだけど。あのさー、成人式だけど、一緒に行かない?」
A子 「いいよー。OIOI一人?」
私 「うぅん、K男と行くことになってるんだけど、A子も誰かと行くの?」
A子 「あたしはC子と行く約束してるんだよ」
私 「あっ、そっ、そうなんだー……」
その先の会話の記憶は、私には残っていない。
とりあえず成人式の朝、駅の近くのMというお寺で待ち合わせるという約束を、震えながらメモした記憶があるだけだ。
成人式の前日、私はいつものようにアルバイトに入っていた。
当時のアルバイトは、駅前の小さなレストランのホールスタッフだった。
その頃の私は、バイトの後に調理場の社員と酒を飲み、深夜まで語り合うのが日課になっていた。
しかしその日は翌日のことを考え、酒を一滴も口にせず、まっすぐ自宅に帰った。
――C子に逢える……。
そう考えただけで、胸が高鳴っていくのが分かった。
早めに寝ようと思い床に就くのだが、なかなか寝付けない。
そして、一睡もできぬまま、成人式当日を迎えた……。
成人式の朝。
私はK男と連れ立って、約束のM寺に向かった。
スーツはもちろん、この日のために新調したダークブラウンのダブルである。
少し早めにM寺に到着した私は、緊張を解くためにタバコを立て続けに吸っていた。
しかし、一睡もしていない身にとって、タバコの連続吸いはキツイものがある。
「お前、顔が青いよ」
という、K男の言葉も、遠くで聞こえる感じがする。
そして……。
M寺の入り口から、ついにC子がやってきた。
艶やかな赤い振袖を身にまとった姿は、まさに女神である。
A子と話すときに見せる、はにかんだような笑顔は、あのころのままだ。
C子と懐かしそうに話すK男とは逆に、私は一言もC子に対して話しかけることができない。
私たちが住んでいたN区では、成人式を『としまえん』で行うことになっていた。
成人式のあと、その年の成人は無料で遊園地を遊べるという、粋な計らいである。
しかし、当日はあいにくの空模様。
会場に着くまでは何とか持ちこたえていた天気も、式典が終わる頃には、みぞれ交じりの雨が降る、最悪の天候へと変わっていた。
この悪天候の中で乗れるものといえば、メリーゴーラウンドくらいしかない。
「いいよー。俺、写真撮ってやるから。OIOIたち乗ってくればいいじゃん」
と、思ってもみなかったK男のキラーパスがここで炸裂した。
K男の気遣いを心から感謝しながら、私たちはメリーゴーラウンドに乗った(このとき、A子も乗ってきたのは誤算であった)。
馬車に座った私は、この日初めて、C子の顔をまともに見ることができた。
「やべぇ、俺、遊園地の乗り物でメリーゴーラウンドが一番怖いんだよね」
などと、ボケともつかない発言をしながら、メリーゴーラウンドは静かに回っていった。
何を話したか。
そんな記憶は全く残っていない。
しかし、同じ馬車に乗ってクルクルと回っていたあの2分間は、私の人生で最も至福のときであったことは言うまでもない。
天気も悪いので、あまり長居することはできない。
ましてや女性陣は振袖姿である。
昼過ぎには『としまえん』を後にし、私たちは家に帰ることにした。
――このまま別れてお前はいいのか?
という、もう一人の私が心の中で叫ぶ。
意を決した私は、夜の飲み会を開くことにした。
いきなりC子を誘うのも気が引けるので、ひとまず私はA子に提案をしてみた。
私 「久しぶりに会ったんだしさー、今夜みんなで飲みに行かない?」
A子 「私はいいよー」
私 「あっ、そう?」
A子 「あんたC子のことが好きなんでしょ?C子もちゃんと誘いなさいよ!」
C子への恋心は、それまで他言したことがない。
しかしA子の顔には、「全部知ってるわよ!」ということがはっきりと書かれていた。
ここまでA子が言うということは、もしかしたら事前にC子に対して段取りを付けてくれているのかもしれない。
そんな淡い期待を抱いて、私はC子に近づいて行った。
私 「今日さー、夜みんなで飲みに行くんだ。A子も来るしさー、C子も来ない?」
C子 「ゴメン、あたし今日、体調悪いから……」
私 「あっ、そっ、そうなんだー」
チャララー チャララララーラー
今の私であれば、ここであと一押しも二押しもしたであろう。
しかし、まだまだ純な青年時代である。
この瞬間、昨晩から一睡もしていない疲れに、私は一気に飲み込まれてしまった。
いったん家に帰ったものの、外に出る気力が全く起きない。
しかし、そんなときに限ってバカな友人が私を誘いにやってくる。
仕方なく、私は飲み会へと出向くことにした。
せっかく飲み会に来たのであれば、せめてA子からC子に関する情報を聞き出したい。
A子の話によると、C子は高校卒業後、有名短大に進学したらしい。
そして、なんとスチュワーデス(最近は「フライトアテンダント」なんて呼ぶようだ)として、その春から就職するということだった。
以前にも書いたが、私は極度の飛行機嫌いである。
あんな鉄の塊が空を飛ぶということ自体がおかしいのである。
スチュワーデスという、命を懸ける仕事に就くC子に対して、私にできることはないのか?
思い悩んだ挙句、私が取った行動は「お守りを渡す」ということであった。
毎年お正月に家族で初詣に出掛けたG寺に、私は一人で足を運んだ。
目指すはもちろん、交通安全のお守りである。
お守りを購入し、さらには念入りにお参りをして、私はC子を駅前に誘い出した(もちろん、このときC子はあまり乗り気ではなかった)。
忘れもしない。
春うららかな、3月の日曜日であった……。
私 「お前さー、スチュワーデスになるんだって?」
C子 「うん」
私 「飛行機って危ないじゃん?だから、これ……」
といって、お守りを差し出す私。
C子 「…………」
なかなか受け取ろうとしないC子。
私 「あのさー、ここのお守り、よく利くんだって。だから、もらってよ」
C子 「……うん。分かった」
私 「あのさー、俺、ずっとお前のことが好きだったんだ」
C子 「うん……」
私 「だからさー、最後に握手してくれないかなー?」
C子 「…………」
なかなか首を縦に振らないC子。
しばしの沈黙の後、最後に私はこう言った。
私 「じゃー、お前がホームに降りるまで、見送っていいかなー」
C子 「うん……」
そして私たちは、無言で駅の改札へと向かった。
私 「じゃー、元気で」
C子 「うん……」
去り行くC子の背中が、涙でぼやけて見えた。
もう一度C子の顔が見たい。
しかしC子は、一度もこちらを振り返ることはなかった。
そしてC子は、私の前から消えていった……。
話は昨年の同窓会に飛ぶ。
同窓会にも来ていたA子(このとき34歳、二児の母)が、不意に私に言った。
「あっ、そうそう。この間C子にね、一人目の子供が産まれたんだって。写メあるから、見る?」
――この女は、全くデリカシーに欠ける奴だ。
と思いながら、自分の気持ちにけりを付けるために、私はA子の携帯を覗いた。
そこには、可愛い男の子が写っていた。
これからの人生で、私がC子に逢うことはないだろう。
ただ、遠くであなたの幸せを願っている男が一人いるということは、このブログを通じて記しておきたかった。
ありがとう、そして、あなたのことは忘れない。
Forever……。
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投稿者:OIOI|2007年07月12日|コメント(2)|トラックバック(0)|▲
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コメント
ちなみに「蹴りをつける」という表現は誤用ですよ。
「けり」は古典文学で「いとあはれなりけり」といった具合に「けり」という助動詞を文章の末尾につけて文を終わらせる事から生まれた言葉であり。kickの意味の「蹴り」とは何の関連もないです。
ひらがなかカタカナでいいんですよ。
はぶさま
ご指摘ありがとうございます。
修正いたしました。
今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いします。